朝日

恋人が死んだ。
ウソの様にあっけなかった
人間があんなに簡単に命を落とすなんて思ってもみなかった
夢で断片的に覚えている場面のように現実味がなかった。

あれが、本当に夢だったらよかったのに……

僕はそんな事を思いながら
寝汗で少し湿っぽくなったベットから身を起した。
隣には恋人が眠っている。
少し安心してから……おかしさに気が付く。

カノジョはコノ世に居ナイハズ。コレコソがユメ?

その思いが心に浮かんだ途端
また、僕はベットから身を起していた
……やはり、夢らしい。
落胆と、哀しみと……
そして後悔。

たとえ夢でも彼女と過ごせるなら、何故僕は目覚めてしまったのか……?!

気が付けば頬になにか伝っていく
いつの間にやら泣いていたらしい。
僕は哀しみの淵から這い上がれないまま
数日前まで彼女の居た場所……ベットの右端を見る。

……彼女が、居る?!

「私が死んだ夢見てたんだって?馬鹿だなぁ」
彼女毛布から半分顔を出し
いつもと同じ上目使いなイタズラッ子のような笑いを浮かべる。
……でも彼女のヘアスタイルは出会った頃のものだし
このパジャマだって今は捨ててしまっている。
それに、僕がみた夢の内容を知っている訳が無い。
これが夢なのはわかっている
でも、これでいい。この夢がとこしえに続けば……。
「そうだよな、あれが夢なんだよね」
僕はこのまま夢に躰をゆだねよう。
たとえばこれが夢魔が見せた幻影だとしても
そのまま命を奪われたしても構わない。
僕は君に会いたかった
もう一度でいいから君に触れて君を感じたかった。

そして、今まで
照れくさくて言えなかった
「愛してる」を
君が煙たがるまで聞かせてあげたかったのに
それなのに……。


今日も無常な朝日が昇った


そして 夢よりずっと現実味のない今日が動き出した。